順調なペースで体重が減少していた中で唐突に訪れる停滞期は、多くの人を悩ませる問題です。何をしてもまったく減量効果が見られないため、ここでやる気をなくしてダイエットに失敗してしまう人も珍しくありません。しかし、停滞期がどういうものかを理解し、コツを押さえて乗り越えることで、ダイエットを成功に導くことが可能です。
今回は、停滞期が訪れる時期や原因、停滞期を乗り越えてダイエットを成功させるコツを解説します。ついやってしまいがちな停滞期のNG事項も紹介するため、停滞期に負けることなくダイエットを成功させたい人はぜひ参考にしてください。
停滞期とは、ダイエットを始めてから一定の成果が出た段階で、急に体重の減少が滞る時期のことです。それまでの順調さが嘘のようにまったく手応えが感じられなくなるため、焦りを覚える人は少なくありません。
一般的に、下記のタイミング・期間で停滞期が訪れます。
停滞期に入るタイミング |
|
---|---|
停滞期が続く期間 |
|
停滞期に入るタイミングや続く期間には個人差が大きいため、一概には言えません。しかし、上記の条件を大きく超える場合は停滞期以外の原因も考慮し、ダイエット方法を見直しましょう。
ホメオスタシスとは、人の身体に生まれ付き備わっている生命維持機能の1つです。例えば、「暑い場所では汗をかいて体温を下げる」「寒い場所では身体を震えさせて体温を上げる」といった現象が、ホメオスタシスの働きによって起こります。
ホメオスタシスは人が極限下に置かれても生き延びるための防衛本能であり、飢餓状態にも反応して機能し始めます。ダイエットとは「脂肪を減らす」行為です。人にとっては健康のためであっても、身体にとっては「飢餓状態に陥った」と判断され、エネルギー消費量を抑えようと働くことで停滞期が発生します。
ホメオスタシスは人の意志で左右することはできません。ただし、ある程度の期間が経過し現在の体重でも生命維持に問題ないと判断されれば、次第に機能しなくなります。
停滞期は、すべての人に起こり得る現象であり、あくまでも途中経過でしかありません。ここで諦めず、地道に取り組むことがダイエットを成功させるコツです。
体脂肪を溜め込もうとしている停滞期中にダイエットを辞めてしまうと、リバウンドを起こす可能性が高くなります。停滞期が訪れたということは、ダイエットが順調に進んでいる証拠だと考え、下記を参考にモチベーションをキープする工夫を行いましょう。
停滞期を乗り越えさえすれば、再び体重は減少し始めます。理想の自分を手に入れるためにも、前向きにダイエットへ取り組みましょう。
ダイエットに停滞期は付きものとはいえ、体重計の数字がピクリとも動かない日々に「果たしてこのダイエットは成功できるのか」と不安が募る人も多いでしょう。しかし、不安や焦る気持ちを抑えて停滞期を克服することこそが、ダイエットを成功に導く近道です。
ここでは、停滞期が訪れた際の対処方法を3つ紹介します。
停滞期に突入すると、ホメオスタシスの働きによって少ない食事からエネルギーを確保するために、栄養の吸収率が上がります。このときに吸収されやすくなる栄養素は、脂肪や糖分といった太りやすい栄養素ばかりではありません。美しい肌や筋肉を作るために欠かせない、タンパク質やビタミン・ミネラルなども吸収されやすくなります。
食事制限を行うダイエット中は、食事の全体量が減るだけでなく栄養バランスも偏りやすくなるため、食事内容を改めて見直すことも重要です。
肉・魚・卵・野菜・きのこといった、ダイエットによいとされる食材にはビタミンやミネラルが多く含まれています。野菜やきのこは1日に約350g(うち100gを緑黄色野菜にする)、1食につき5種類を摂るよう心がけましょう。肉と魚を同時に食べることで、ビタミンやミネラルを効率的に摂取できます。
停滞期に入ると、これまでダイエットが実感できていた運動内容に成果が感じられなくなり、モチベーションが下がりがちです。また、同じ運動の繰り返しで身体が動作に慣れてしまうと、無意識に楽な動作を行ってしまったり飽きてしまったりします。
そのようなときは、普段と違う種目に挑戦してみたり、少しだけ強度レベルを上げてみたりするとよいでしょう。有酸素運動を中心にしていた人は筋トレを取り入れて筋力を増やし基礎代謝アップを図れば、停滞期中のリバウンドを防ぐ効果が期待できます。筋トレが中心だった人は有酸素運動を取り入れて脂肪燃焼を促してみる、別の部位を鍛えてさらなる筋肉量アップを狙ってみるなどが有効です。
どのようなトレーニングメニューに切り替えればよいか自分で判断できない場合は、ダイエットの専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。
チートデイを取り入れると、停滞期を突破できるケースがあります。チートデイとは、「ダイエット中に我慢していた好物をガッツリ食べてよい日」です。
停滞期が訪れる理由は、ダイエットによる食事制限を身体が「飢餓状態」だと判断し、ホメオスタシスが働くことにあります。チートデイは、十分なカロリーを摂取することで身体に「十分な量の食べ物が入ってくる」ことを認識させ、ホメオスタシスの機能を解除させることが狙いです。
食べ物の種類に制限はありませんが、チートデイは週1回まで・基礎代謝量×3程度のカロリー摂取が目安となります。「今日は疲れたからご褒美のチートデイ」ではなく「毎週金曜日はピザをお腹いっぱい食べる」など、チートデイの日や食べ物も決めておき、計画的に実行することがポイントです。「我慢する日」と「好きなだけ食べる日」を分けてメリハリを付けることで、精神的にも停滞期を乗り越えやすくなります。
最後に、停滞期中についやってしまいがちなNG行為を3つ紹介します。
◯体重を減らそうと運動量を極端に増やす
停滞期は、身体が飢餓状態に入ったと認識することで発生します。体重や体脂肪率が減らないからと運動量を増やすと、身体が「さらにエネルギー状態が悪化した」と判断し、停滞期が長引く・より太りやすくなるケースがあります。停滞期中は、体重を減らすのではなく「現状維持」を目標としましょう。
◯カロリー制限を厳しくして食事量を減らす
停滞期中に食事量を減らすことも、運動量を増やすことと同じく停滞期長期化の恐れがあるNG事項です。また、食事量を減らすことで栄養が偏ったりカロリーが不足したりすると、甘味や脂質への欲求が増大します。食事制限がより辛くなり、諦めやリバウンドを招きやすくなるため、今までと同じ食事を続けながら停滞期の終了を待ちましょう。
◯チートデイだからと暴飲暴食をする
チートデイは好きなものを食べてよい日ではあるものの、際限なく飲み食いしてよいわけではありません。チートデイは、あくまでも「身体に栄養が入ることを認識させる日」であり、食事制限によるストレスを軽減させる日です。摂取カロリーが限度を超えるとリバウンドにつながるため、暴飲暴食は避けましょう。
停滞期の間も、ダイエット中であることに変わりはありません。ここまで培った生活習慣を崩さず、バランスのよい食事と適度な運動の継続をおすすめします。
停滞期は、ダイエットを始めてからある程度の成果が出たころに表れる、身体の防衛反応の1つです。飢餓状態に陥っても生き延びられるように備わった仕組みであり、ダイエットを行う上で避けて通ることはできません。
しかし、停滞期が来たことを理由にダイエットを諦めることなく続けていけば、1か月も過ぎるころには再び体重の減少が始まります。無理に運動を増やしたり食事量を減らしたりせず、バランスのよい食事を摂り新しい運動にも挑戦しながら苦しい停滞期を乗り越えましょう。