上腕二頭筋は、肩から肘まで伸びる筋肉で、「力こぶ」としてよく知られています。肘を曲げる動作や前腕をひねる動きに関与しており、日常的な動作だけでなく、スポーツや力仕事でも重要な役割を果たします。上腕二頭筋を鍛えることで腕が引き締まり、握力や力強さが向上するため、多くの人が筋トレに取り入れている部位です。
当記事では、腕の筋肉を構成する部位や上腕二頭筋の特徴、自宅で簡単に取り組める筋トレメニューを紹介します。「腕をもっとたくましくしたい」「スポーツパフォーマンスを向上させたい」という方はぜひ参考にしてください。
腕は、複数の筋肉がそれぞれの役割を果たすことで複雑な動きを実現します。筋肉の部位によっては、役割だけでなく鍛え方も異なります。ここでは、腕の筋肉を構成している部位を紹介するため、まずは上腕二頭筋を含め、腕の筋肉について理解を深めましょう。
上腕二頭筋は腕の中でも肩から肘までの「上腕」にある筋肉で、「力こぶ」の筋肉としても知られています。
上腕二頭筋は長頭・短頭の2つに分かれている点が特徴です。長頭は肩甲骨の外側(関節窩)、短頭は肩甲骨前面の体幹側(烏口突起)から起始します。反対側は、肘付近の親指側にある橈骨(とうこつ)で停止します。
上腕二頭筋の主な役割は、肘関節の屈曲です。前腕を上腕側に引き寄せる・前腕を回外させる・てのひらを上に向けるといった動きに関わり、ものを持ち上げる・ひねるなどの動作に使われています。
上腕二頭筋を鍛えると、日常的にはものを持ち上げたり回転させたりする動作が楽になるのがメリットです。また、水泳や球技など腕を使うパフォーマンスも向上します。
上腕三頭筋は、上腕二頭筋の裏側、直立すると上腕の背面側にある筋肉です。上腕三頭筋の起始は上腕二頭筋と異なり、一方は3つの頭に分かれ、肩甲骨と上腕骨の背面側から起始します。反対側は、肘付近の小指側にある尺骨(しゃっこつ)で停止します。
上腕三頭筋の役割は、肘の伸展です。主に、腕を前や上に上げる際に使われます。また、肘頭を肘頭窩(ちゅうとうか)に収めるサポートをするため、野球のように腕を持ち上げてから振り下ろす動作を行うスポーツにも役立ちます。
上腕三頭筋を鍛えると、上腕のフォルムが整い、腕をたくましく見せたり引き締めたりできる点がメリットです。また、野球などによる肘の痛みや損傷といった症状の防止にもつながります。
前腕筋群は、肘から手首にかけて走っている筋肉です。前腕筋群は20種類ほどの筋肉で構成されており、構造が複雑です。
前腕筋群は、手首の曲げ伸ばしや回旋など、手首を中心とした複雑な動きを実現しています。前腕筋群は主に前腕屈筋群・前腕伸筋群から成り立ち、前腕屈筋群は手首を曲げる動作、前腕伸筋群は手首を伸ばす動作をサポートします。
前腕筋群は、手で握る動作にもかかわる筋肉です。前腕筋群を鍛えると握力が向上し、日常生活の中で荷物を持つのが楽になったり腕が疲れにくくなったりします。バドミントンや剣道など、道具を握る・手首を使うなどの動作が必要なスポーツでも、パフォーマンスを向上させられるでしょう。
上腕二頭筋は、ベンチプレスなどの高負荷なメニューでなくても、ジムや自宅で簡単に鍛えられる筋肉です。ここでは、上腕二頭筋を鍛えられる自重トレーニングとウエイトトレーニングを紹介します。メニューの選択やトレーニングの実施に役立ててください。
パームカールは、肘を曲げ伸ばししながら上腕二頭筋を鍛えるトレーニングです。特別な場所や道具が必要なく、気軽に行えます。
1 | トレーニングを行うほうの手を握って拳を作る |
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2 | 反対の手で握り拳の手首あたりを、てのひら側から押さえる |
3 | トレーニングを行うほうの腕を、息を吐きながら拳を上腕に近づけるように曲げる |
4 | 3の動作の間、反対の手でトレーニングを行う腕を押さえるように負荷をかける |
5 | 肘を曲げきったら、力を抜かずにゆっくり肘を伸ばす |
6 | 3~5の動作を繰り返す |
肘の曲げ伸ばしをするときは、肘自体は体の横から動かないように固定しましょう。肘を動かさずにトレーニングするのがイメージしづらい場合は、タオルなどを脇に挟んで行うと感覚をつかみやすくなります。
また、曲げ伸ばしはゆっくり行うほうが効果的です。曲げる際も伸ばす際も、3~4秒程度かけるとよいでしょう。
ドルフィンプッシュアップは、うつぶせの状態でプランクの姿勢をとって行うトレーニングです。
1 | 両肘と爪先を肩幅程度に開いて床につけ、プランクの姿勢をとる |
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2 | 肘と爪先は床につけたまま、お尻を高く上げて体を「く」の字に曲げる |
3 | 肘と爪先の位置はそのままで、肘から上を前に出すように動かしながらお尻を下げ、プランクの姿勢に戻る |
4 | 2と3の動作を繰り返す |
ドルフィンプッシュアップは、肘と爪先に体重がかかるため、床についた部分を傷めないようにマットなどを敷いて行うのがおすすめです。
トレーニングの効果を引き出すには、プランクの姿勢をとる際に腰をそらしたり背中を丸めたりせず、背筋をまっすぐに保ちましょう。上腕二頭筋に特に負荷がかかるタイミングが、3の動作です。姿勢をプランクに戻すときは、上腕二頭筋に力を入れることを意識してください。
ハンマーカールは、ダンベルを使って行うトレーニングです。
1 | 背筋をまっすぐにして、てのひらを内側に向けて両手にダンベルを持つ |
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2 | 肘が45度程度に曲がるまでダンベルを引き上げる |
3 | ダンベルをゆっくりと下げる |
4 | 3と4の動作を繰り返す |
ハンマーカールに限らず、動作の最中は息を止めないように意識しましょう。動作そのものはパームカールと似ています。ただし、ハンマーカールはパームカールのようにてのひらを上に向けず、最初にダンベルを持ったときの方向を保ったまま行います。
ハンマーカールは、ダンベルを持つ分パームカールより体に負荷がかかり、腰がそる場合があります。腰をそらさずに行うのが難しい場合は、膝立ちで行うと正しい姿勢を保てるでしょう。
上腕二頭筋の筋トレには自主トレーニング向けの種目が多いものの、効率よく鍛えるにはコツを押さえる必要があります。ここでは、上腕二頭筋を鍛えるコツを具体的に解説します。トレーニング時の参考にしてください。
上腕二頭筋に限らず、筋トレを行う際には、正しいフォームで行うのが大切です。誤ったフォームでトレーニングを続けると、鍛えたい筋肉に必要な負荷がかからず、効果が出にくくなります。また、フォームに問題があると、肩肘や膝、腰といった関節に負担がかかり、ケガを引き起こす原因にもなります。
正しいフォームは、筋トレの種目によって異なるため、行いたい種目のやり方やフォームを確認してから行うようにしましょう。
上腕二頭筋を鍛える場合は、上腕骨を挟んで裏側にある上腕三頭筋も鍛えましょう。上腕二頭筋は肘の屈曲、上腕三頭筋は肘の伸展と、正反対の動きを担う筋肉です。主に鍛えたい筋肉を「主動筋」と言うのに対し、反対の動きを担う筋肉を「拮抗筋」と言います。
関節の曲げ伸ばしには、正反対の2つの筋肉群がかかわる場合がほとんどです。両方の筋肉をバランスよく鍛えると筋肉や関節の動きが安定します。拮抗筋である上腕三頭筋を鍛えておくと、上腕二頭筋のトレーニングの際により効果的な刺激を与えられるようになります。
筋トレは重い負荷をかければ効果が高まるわけではありません。適切な負荷をかけられるように、回数や頻度を調節しましょう。特に初心者やリハビリ目的の人などは、負荷をかけすぎないように注意してください。
筋トレの1種目あたりの回数は、通常は1セット10回前後を3セットとします。1セットのみでは効果が期待できません。1セットの回数やセット数を追加するのは、筋トレに慣れてきた後にしましょう。
筋トレ後は筋肉を休息させることで、トレーニング前よりも筋肉が太くなります。これが超回復です。超回復を起こすためにも、同じ部位を毎日鍛えるのではなく、同じ部位のトレーニングは2~3日に1回程度にとどめておきましょう。
ダンベルなどを扱う場合も、自分に扱える重量以内のアイテムを選びましょう。重すぎるウエイトを使うと、筋断裂などを起こす恐れがあります。
上腕二頭筋を鍛えることで、力強い腕の見た目を手に入れるだけでなく、日常生活やスポーツでの動作もよりスムーズになります。たとえば、パームカールやハンマーカールといったトレーニングを取り入れることで、効果的に上腕二頭筋を鍛えられます。正しいフォームや適切な負荷を意識しながら、無理のないペースで続けていきましょう。
また、筋トレを効率的に行うためには環境選びも重要です。JOYFIT24では、24時間利用可能なジム設備を提供しており、自分のライフスタイルに合わせてトレーニングを行えます。現在、クレジットカードを利用した入会やアプリからの簡単入会が可能です。ぜひ、お気軽にJOYFIT24をご利用ください。