食後の筋トレには、筋肉に栄養が吸収されやすいほか、エネルギー不足による筋肉の破壊を防げるといったメリットがあります。そのため、筋肉を効率よく鍛えたいのであれば、筋トレを行うベストなタイミングは食後と言えるでしょう。筋トレをしている人の中には「筋トレと食事の関係を知りたい」「食後に筋トレを行う効果が知りたい」という人もいるのではないでしょうか。
当記事では、身体を鍛える上で重要な2つの要素や、食前・食後に筋トレを行うメリット・デメリットなどを紹介します。
効率よく筋肉をつけるためには、まず筋トレと食事の関係性を知る必要があります。筋肉は、何もしていない状態でもエネルギーを消費する部位です。内臓よりもエネルギー消費量が多く、筋肉が増えれば、その分エネルギー消費量も増えます。ダイエットによる過度な食事制限や激しい筋トレによってエネルギーが不足すれば、筋トレによる十分な効果は期待できません。
身体の筋肉はタンパク質から構成されており、筋肉の維持や筋肉量の増加にはタンパク質の摂取が必要です。エネルギー不足の状態で筋トレを行うと筋肉の中のアミノ酸が放出されタンパク質が分解されてしまいます。タンパク質を摂取しなければ筋肉を作り出す性能が向上しないため、いくら筋トレに励んだとしても効率的に鍛えることができません。
また、運動をしているのに筋肉が減るという逆効果につながりかねないため、エネルギー源となる炭水化物の摂取も欠かせません。筋肉をつけるためには、「筋肉の源となるタンパク質」と「筋肉の栄養となる炭水化物」をしっかり摂取しましょう。
筋トレ効果を最大限に発揮するには、栄養バランスの取れた食事が大切です。食事を軽視すると、筋トレの効果を最大限に発揮することはできません。ここでは、筋トレと食事の関係について詳しく解説します。
筋トレで刺激された筋肉は、休息中に筋繊維の回復と強化が行われます。この時に必要になるのが、タンパク質です。筋肉を作り出すタンパク質のもととなる必須アミノ酸は、食物からしか摂取できません。
タンパク質は、筋肉以外にも爪や髪、皮膚といった身体のさまざまな組織を作っています。食事から摂取されたタンパク質は常に消費されているため、筋肉を鍛えるには食事のたびに意識的にタンパク質の摂取量を増やすとよいでしょう。
1日に摂取したほうがよいタンパク質の量は、体格や運動量によって異なります。たとえば体重が70kgで軽めの筋トレをしている人であれば、1日に必要なタンパク質の量はおよそ100gです。1度の食事でまかなうよりも、4〜5度の食事や補給でこまめに摂取すると吸収性が高まります。また、動物性タンパク質と植物性タンパク質の両方を組み合わせ、食事自体にも偏りがないよう気をつけることが理想です。
運動時にはエネルギー源として糖質が消費されます。糖質を効率よく摂取できるのが、炭水化物です。炭水化物は糖質と食物繊維で構成される栄養素であり、小腸で分解された後、糖質はグリコーゲンという物質に変化して筋肉組織へと取り込まれます。筋トレで筋肉を動かす際のエネルギー源として使われるのが、グリコーゲンです。
グリコーゲンが少ない状態で筋トレをすると、筋肉そのもののタンパク質を分解してエネルギーを作り出します。結果、筋トレをしているのに筋肉の量が減ることになり、効率よく身体を鍛えることができません。
タンパク質をしっかり摂取できている状態であっても、糖質が不足していると筋肉の成長や修復に必要なエネルギーが不足して思うような効果が出ません。タンパク質と同じくらい筋トレにおいて大切な栄養素が炭水化物です。糖尿病の恐れがない限りは、日々の食事で炭水化物をしっかりと摂るよう習慣づけましょう。
筋トレは行うタイミングによって得られるメリットが異なります。筋トレを行うタイミングによっては、筋肉が減ってしまうこともあるため注意が必要です。筋トレを行うタイミングのメリットとデメリットを知ると、より自分に合ったトレーニングのタイミングが分かります。
ここでは、食事の前に筋トレを行うと身体にどのような影響があるのかを解説します。
空腹状態の身体は交感神経の働きが活発です。交感神経は興奮の刺激を全身に伝える役目を担っているため、活発な状態では筋肉に送られる血液の量がアップします。酸素と栄養が血液で豊富に運ばれてくる結果、新陳代謝が活発になり、効率的に筋肉を成長させることができます。
新陳代謝の高まりによって筋繊維が損傷しやすい状況になれば、「筋肥大」にもつながります。筋肥大は、運動によって損傷した筋繊維が肥大化し、さらに強い筋肉を作り出すことを指します。食前に筋トレを行うことで、集中して筋肉が成長しやすい環境を作ることができます。
食前に筋トレを行うデメリットは、筋肉が破壊されやすくなることです。体内の糖質が不足している状態で運動を行うと、筋肉の中にあるタンパク質が破壊され、アミノ酸に分解されてエネルギーとして消費されやすくなります。そのため、筋トレをしているにもかかわらず筋肉の成長が遅くなる可能性もあるでしょう。
また、筋肉が破壊されることで基礎代謝も下がりやすくなります。エネルギー効率の悪い体質になり、筋トレをしているのに思うように痩せないといった時は、筋トレ中のエネルギー不足が原因ということも考えられます。思ったように効果が得られない場合は、プロテインなどで栄養を摂取してから筋トレを行うとよいでしょう。
食後の体内には、筋肉をつけるために必要なエネルギーが多く蓄えられています。しかし、食前と同様に、食後の筋トレにもメリットとデメリットがあることを理解することが大切です。食後の筋トレは、運動に必要なエネルギーが充足している状態なので、筋肉を効率よく鍛えられるメリットがあります。しかし、満腹の状態は消化不良となって体調やパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるので、タイミングには注意が必要です。
ここでは、食後に筋トレを行うメリットとデメリットを解説します。注意点を把握し、自身のコンディションと相談しながら無理のないトレーニングを心がけましょう。
食後の身体は効率よく筋肉に栄養を供給できる状態です。筋トレで損傷した筋肉に素早く栄養を供給できるため、筋肉の回復が早まります。エネルギーが充足するため疲労も感じにくく、筋トレの持続力や集中力が高まるのもポイントです。筋トレ初心者には特に食後の筋トレ開始がおすすめです。
損傷した筋肉が修復される過程を「超回復」といい、超回復の際には筋トレ前よりも筋肉量の増加が期待できます。筋肉を鍛えるためには、超回復を繰り返すことが重要です。食後の身体は筋肉が効率よく栄養を吸収できるため、超回復がスムーズに行われるでしょう。
運動時には体内の糖質をエネルギーとして消費します。しかし、体内の糖質が不足していると、糖質の代わりに筋肉を破壊して蓄えられたタンパク質を取り出すことでエネルギーが作られます。食後に筋トレを行う場合は、糖質の補充が十分できた状態であるため、筋肉が破壊される心配がありません。筋トレを行えば行うほど、筋肉がしっかりと成長するコンディションが作れます。
糖質は主に炭水化物から摂取できる栄養素です。間食や軽食と違ってしっかりと食事を取ると、筋トレに必要な糖質をしっかりと摂取できます。
食事で摂りすぎた糖質は脂肪として蓄えられます。しかし、食後に筋トレをすることで摂取した糖質は運動エネルギーに変換されるため、糖質が脂肪に変化するのを防げるでしょう。食後の筋トレはシェイプアップしたい場合にも効果的です。これは、筋トレだけでなくウォーキングなどの有酸素運動でダイエットを行う時にも当てはまることです。筋肉量が増えて脂肪が減ると基礎代謝も上がるため、ダイエットとの相乗効果も期待できます。食後にハードな筋トレをすると意識することで食事量をセーブでき、食べすぎの防止にもつながります。
脂肪を減らすことを意識するのであれば、筋トレ前の食事は血糖値が上がりにくい食べ方を心がけましょう。インスリンの分泌量が抑えられ、脂肪細胞が増大するのを防げる可能性があります。
食後に筋トレをすることで生じるデメリットは、消化不良が起こりやすくなることです。食後は食べ物を消化するために消化器官に血液が集中している状態です。消化活動が活発な時に筋トレをすると、本来胃に集まっているはずの血液が筋肉に集中しようとして、消化活動に支障がでる可能性があります。消化不良を起こすと、吐き気やお腹の不快感、脇腹の痛みが生じることもあり、筋トレのパフォーマンスにも影響を及ぼします。
筋トレのハードなメニューに限らずストレッチやジョギングなど、身体を動かすトレーニング方法は、すべて消化活動に負担をかける可能性があることを覚えておきましょう。
「食前・食後に筋トレを行うメリット・デメリット」から総合的に判断すると、筋トレを行う適切なタイミングは食後です。体内にあるエネルギーを最大限に生かしながら、効率よく筋トレを行いましょう。
とはいえ、食後すぐの筋トレは逆効果です。体内のエネルギーを効率よく筋肉に使うためにも、血液が消化吸収に使われるタイミングで筋トレを行うことは避けてください。
食後は副交感神経が優位となり、時間が経つにつれて交感神経が活発的になります。しかし、食後から筋トレまでの時間が空きすぎると、体内のエネルギーが不足し始め、筋トレの効果が薄くなってしまいます。そのため、消化が完了する「食後2~3時間」が、筋トレを行うベストなタイミングと言えます。
また、3食の中でも「夕食後」は筋トレの効果が表れやすい時間帯です。夕食後の筋トレでは、「エネルギー補給・筋肉への負荷・休息」の3つが揃うため、効率的に筋肉を鍛えることができます。夕食の後に筋トレを行ったら、睡眠をしっかり取って筋肉を休ませましょう。
ただし、交感神経が高まると脳が活性化して寝つきが悪くなるため、夕食後の筋トレは負荷がかかりすぎない程度のメニューがおすすめです。
食後の筋トレを効果的に行いたいときは、以下のポイントを押さえましょう。
筋トレの効果には、食事の質が大きく影響します。食後の筋トレの効果をより高めるためにも、食材や栄養素に注目しましょう。
筋トレ前には、以下で紹介する食材を積極的にメニューに取り入れてみてください。
<筋トレにおすすめの食材>
食材 | 筋トレ効果につながる栄養素 | 期待できるメリット |
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牛肉 |
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豆腐 |
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酢 |
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緑茶 |
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ヨーグルト |
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野菜※ |
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フルーツ |
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※1日350g摂取することが理想
また、身体を動かすために欠かせない炭水化物は、摂取すると血糖値を上昇させるという特徴があります。血糖値が上がったままだと筋トレの効果が落ちるため、血糖値の上昇を抑える食事方法を意識することがポイントです。
以下の順番で食事を摂ると、血糖値の上昇を抑えることができます。
食物繊維→タンパク質→脂質→糖質
ただし、糖尿病を患っている人は、医師の指示に従ってください。
ダイエットに効果的な食事メニューは?意識したい食事の注意点も解説
食後に筋トレを行うと「筋肉に栄養が吸収されやすい」「エネルギー不足による筋肉の破壊を防げる」「ダイエットにも効果的」などのメリットがあります。そのため、筋肉を効率よく鍛えたい場合は食後に筋トレをするとよいでしょう。ただし、食後すぐの筋トレは消化不良を起こしやすいので、消化が完了する「食後2~3時間」がベストなタイミングです。
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