スイッチキックは、下半身を重点的に引き締めるためのトレーニングや、運動不足を解消するための有酸素運動としておすすめの方法です。
脚を上に蹴り上げるという自宅でも簡単にできる筋トレ方法ではあるものの、知名度はさほど高くなく「やり方が分からない」という方も多くいるのではないでしょうか。
そこで今回は、スイッチキックの概要からスイッチキックで鍛えられる部位、さらにスイッチキックの正しいやり方と効果を上げるポイントまで詳しく紹介します。ジムや自宅でできる簡単な下半身トレーニング方法を知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
スイッチキックとは、仰向けになって両手両足の4点で体を支えながらお尻を上げ、左右の脚を交互に高く蹴り上げるというトレーニングメニューです。特別な道具が必要ないほか、天井が低い場所や狭い場所でも行えることから、宅トレとしても人気です。
スイッチキックは筋肉への負荷が比較的軽く、長時間継続して行える有酸素運動に分類されます。体を支えるために腕の筋肉はやや必要とはなりますが、上半身にはほとんど動きがないため、運動初心者の方や運動神経がよくないと感じている方でも比較的簡単にチャレンジできるでしょう。また、お尻や太ももの筋肉も鍛えられることから、運動不足を解消したい方や下半身を引き締めたい方には特におすすめです。
なお、キックボクシングやムエタイなどの立ち技格闘技における技術の1つに「スイッチ」があり、スイッチキックと混同する方も多くいます。
しかし、スイッチはあくまでも立ち技格闘技の選手が立ち位置(スタンス)を素早く変えて、相手選手の不意をついた攻撃のチャンスをつくりだすために用いられるテクニックです。トレーニングメニューであるスイッチキックとは、やり方も目的も大きく異なることを覚えておきましょう。
スイッチキックをはじめとした有酸素運動では、筋肉を収縮させる際、酸素とともにまず体内の糖質がエネルギー源として消費されます。有酸素運動を長時間継続して行うと、消費できる糖質が体内からなくなりエネルギーが不足します。糖質をエネルギーとしてしっかり使いきったら、次に脂肪が重要なエネルギー源として消費されるようになります。
消費しきれなかった糖質や脂質は、中性脂肪として体内に蓄積されるため、体を美しく引き締めたい方にとっては天敵です。しかし、スイッチキックを継続して行うことで体内にある無駄な糖質や脂質を消費でき、中性脂肪の蓄積を防げます。
また、スイッチキックは主にお尻や太ももに力をかけて行うトレーニングでもあるため、殿筋群やハムストリングスも鍛えられます。ここからは、スイッチキックで鍛えられる2つの筋肉部位について詳しく紹介します。
殿筋群(でんきんぐん)とは、お尻にある筋肉群の総称です。「大殿筋(だいでんきん)」「中殿筋(ちゅうでんきん)」「小殿筋(しょうでんきん)」という3つの筋肉で構成されています。
●大殿筋
お尻全面を覆う形で構成されている、殿筋群の中で最も大きな筋肉です。股関節の伸展、つまり太ももを後ろに振って歩くときや、椅子から立ち上がるとき、さらに姿勢をキープするときに必要となります。
●中殿筋
お尻の上側、骨盤あたりにある比較的小さな筋肉です。骨盤と股関節・大腿骨を結び、大腿部を外側に開く動作を指す「股関節外転」や、脚を左右に上げるときに必要となります。また、歩行時に下肢の負担を軽減してバランスを保ったり、骨盤のズレを防いだりする役割も果たしています。
●小殿筋
お尻の外側、中殿筋の奥にある、殿筋群の中で最も小さな筋肉です。小殿筋を使う主な動作は中殿筋と同様に股関節外転などが挙げられますが、深部に位置する筋肉であること・筋肉自体も小さいことから、中殿筋のアシスタント的な役割を果たしています。
ハムストリングスとは、太ももの裏側にある筋肉群の総称です。「大腿二頭筋(だいたいにとうきん)」「半膜様筋(はんまくようきん)」「半腱様筋(はんけんようきん)」の3つの筋肉で構成されています。
●大腿二頭筋
太もも裏の外側にある、ハムストリングスの中で最も長い筋肉です。「長頭」「短頭」という2つの部位で構成されており、股関節を曲げたり伸ばしたりするときや、膝関節を曲げるときに必要となります。
●半膜様筋
太もも裏の内側にある筋肉です。股関節と膝関節をつないでおり、大腿二頭筋と同様に股関節を伸ばしたり膝関節を曲げたりするときに必要となります。また、左右の脚を閉じる・ふくらはぎを内側にねじるという動作にも大きく関与します。
●半腱様筋
半膜様筋と同様、太もも裏の内側にある筋肉で、股関節や膝関節の動きに関わります。特に膝関節の動きには大きく関与しており、膝を曲げる際の内側半月板・後方関節包の挟み込みを防ぎながら、スムーズな動作をサポートしています。
スイッチキックは簡単なようにも見えますが、正しいやり方で行わなければ間違った筋肉に力を入れてしまう可能性があります。「トレーニング効果をなかなか実感できない」という状況に陥らないためにも、正しいやり方をしっかりと理解しておきましょう。
1 | 体の後ろ側に両手を置く形で床に座る |
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2 | 両手両足の4点で体を支えながら、ゆっくりとお尻を上げる |
3 | 仰向けで四つん這いとなった姿勢をキープしたまま、左右の脚を交互に高く蹴り上げる |
4 | 20秒間1セットとして、3を2~3セット繰り返す |
宙に向けて脚を蹴り上げるときは、力のままに高く上げるのではなく、片脚1秒のリズム感で比較的ゆっくりと動かすことが大切です。慣れないうちは息があがったり徐々に脚に力が入らなくなったりしますが、できる限り自分のペースで最後まで丁寧にやりきることを心がけましょう。
なお、殿筋群やハムストリングスの超回復には48時間~72時間程度を要すると言われています。そのため、スイッチキックは2~3日おき、週に2~3回ペースで行うと良いでしょう。
スイッチキックの効果を上げるためには、いくつかのポイントがあります。筋トレ初心者の方や運動が苦手な方は、特に重要となる情報と言っても過言ではありません。
効率的に筋肉をつけるためにも、ここから紹介する3つのポイントをおさえておきましょう。
スイッチキックを行うときは、両手両足で体を支えたままお尻を上げるという姿勢を常にキープしておかなければなりません。筋トレ初心者の方にとってはこの状態だけでも力を要することとなるため、左右の脚を交互に蹴り上げていく中で徐々にお尻が下がってきてしまう可能性があります。
しかし、お尻が下がった状態は殿筋群に力が入っていない状態となり、スイッチキックによる筋トレ効果が半減します。むしろ、間違ったフォームで股関節を大きく動かすことによって、ほかの部位に負担がかかる可能性もあります。
そのため、スイッチキック中は鏡を見ながらお尻が下がっていないかを常に確認しておきましょう。お尻の筋肉だけでなく腹筋の筋肉も使うことで、姿勢をキープしやすくなります。
スイッチキック中は姿勢をキープすることについ気を取られ、脚を曲げたまま蹴り上げてしまう方もいます。また、体が硬い方の場合は脚を曲げたほうが高く蹴り上げられるケースもあり、あえて脚を曲げているという方もいるでしょう。
しかし、脚を曲げたままのスイッチキックは正しい部位に力が入らず、トレーニング効率が低下してしまうことに注意が必要です。脚を高く蹴り上げることも大切ですが、最も重要なのは脚を伸ばしながら動かすことです。脚の付け根からつま先までは、きれいな一直線になるよう常に意識しましょう。
最初のうちは高く蹴り上げることが困難でも、回数を重ねることによって徐々に高く蹴り上げられるようになります。そのため、いかに高く蹴り上げられるかではなく「脚を伸ばしながら行う動作への慣れ」を重視してトレーニングを進めましょう。
スイッチキックは、意外と体力や筋力を使うトレーニングです。そのため、力を入れているときはつい呼吸を止めてしまうという方も多くいるでしょう。しかし、呼吸を止めてしまうと有酸素運動ならではのトレーニング効果が期待できなくなるほか、酸欠状態に陥って気分が悪くなるおそれもあるため、できる限り呼吸することが大切です。
人間の呼吸には「胸式呼吸」と「腹式呼吸」の2種類が存在しますが、運動・トレーニング時は基本的に胸式呼吸が適切とされています。なぜなら、身体活動中に胸式呼吸を行うことによって、交感神経が活発化し、パフォーマンスの向上や体幹の安定につながるためです。
胸式呼吸のコツとしては、「鼻から息を吸うときは胸を膨らませる」「吸う時間よりも吐く時間を長くする」が挙げられます。また、「力を入れるときに息を吐いて、力を抜くときに息を吸う」を意識すると、呼吸が安定しやすくなります。
スイッチキックは、道具が必要なく省スペースでも行えることから、運動不足の解消やお尻・太ももの引き締めを目的とした宅トレとしても人気となっています。
一見すると簡単なようにも思えますが、正しいやり方で行わなければトレーニング効果が減少したり、ほかの部位に負担がかかったりする可能性があります。慣れないうちは、鏡でお尻が下がっていないか・脚が曲がっていないか・正しく呼吸できているかをチェックしながら、自分のペースで進めていくことがおすすめです。
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