プッシュアップは、胸や肩、さらに二の腕などを鍛えられる筋力トレーニングのことで、誰もが一度は経験のある「腕立て伏せ」という名でも広く知られています。そのため、ある程度のフォームややり方は把握している方も多いでしょう。
しかし、プッシュアップにはさまざまな種類があり、鍛えたい部位によっても細かにやり方を変える必要があります。正しいフォームとやり方で行えば、より効率良く鍛えることにもつながるでしょう。
そこで今回は、プッシュアップの概要やメリットから、プッシュアップで鍛えられる部位、さらに種類ごとのやり方、効果的に体を鍛えるポイントを詳しく紹介します。
プッシュアップとは、肩幅よりやや大きく広げた手と足を地面につけ、上肢の筋力で体を支えながらまっすぐ肘を伸ばし、地面から体を押し上げる筋肉トレーニングです。
数ある筋トレ・ボディメイクメニューのなかでも王道であり、「腕立て伏せ」として広く定着しています。
プッシュアップで身体を鍛えるメリットや期待できる効果には、下記が挙げられます。
プッシュアップの大きなメリットは、上半身を総合的に鍛えられる点です。また、胸板を厚くすることも期待でき、男女ともにメリハリのあるボディラインが目指せるのも魅力と言えるでしょう。
さらに、正しいフォームでプッシュアップを続ければ体幹強化にも寄与します。体幹筋が鍛えられると正しい姿勢を楽に保ちやすくなるほか、日常における転倒・けがの予防にもつながります。
プッシュアップは主に腕を使って体を持ち上げる筋トレなので、「二の腕あたりの筋力を高めるためのトレーニングメニュー」と思われがちです。しかし、実際は胸の筋肉である大胸筋をメインに鍛えられるメニューとなっています。
以下は、プッシュアップで鍛えられる代表的な部位です。
●大胸筋
胸の前面に扇状に広がる筋肉です。鎖骨から上腕骨につながっており、筋肉のなかでも体積が特に大きいのが特徴となっています。筋トレ効果を実感しやすい部位ではありますが、男女差が大きく、女性の場合は男性と比較して発達しにくい傾向にあります。
●上腕二頭筋
肘を曲げて拳を力強く握りしめたとき、「上腕に浮かび上がる力こぶ」にあたる筋肉です。肘の屈曲動作や前腕・手首をひねる動作をするときに働きます。「長頭」と「短頭」という2つの部位に分けられており、自分から見て外側が長頭、内側が短頭です。
●上腕三頭筋
上腕二頭筋の裏側に位置しており、いわば「二の腕」にあたる筋肉です。肘を曲げたり伸ばしたりするときや、物を押したりするときに発揮します。上腕二頭筋と同様に、長頭と短頭の2つの部位に分かれています。日常生活においては上腕二頭筋よりも使わない部位となるため、たるみやすい部位でもあります。
●三角筋前部
三角筋は肩を覆う表層筋のことであり、上肢のなかでも最も体積が大きい筋肉です。腕を前方に持ち上げる動作や、肩関節を内側に捻る動作をするときにはたらきます。前部・中部・後部に分けられており、プッシュアップでは主に三角筋前部を鍛えられます。
プッシュアップとひとくちに言っても、鍛えたい部位ややり方によってさまざまな種類に分けられており、それぞれ異なる名称がつけられています。
ここからは、プッシュアップの種類ごとに概要とトレーニングの手順を分かりやすく紹介します。
ノーマルプッシュアップとは、その名の通り最も一般的なプッシュアップメニューです。筋トレ初心者の方や、プッシュアップを初めて行う方は、まずノーマルプッシュアップで基礎を身につけましょう。
【ノーマルプッシュアップのやり方】
1 | 手(腕)は肩幅よりやや大きめに、足は肩幅よりやや小さめに地面につける |
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2 | 頭からつま先までまっすぐ一直線になるよう、姿勢を整える |
3 | 肘をゆっくりと曲げて、息を吸いながら胸と膝が床にギリギリつかない程度まで体を下げる |
4 | 地面を押し上げるよう肘をゆっくりと伸ばし、息を吐きながら体を起こす |
ノーマルプッシュアップは、「20回×3セット」の回数を目安に行いましょう。トレーニング効果を高めるには、常に背中を反らさないこと・インターバルをとることが大切です。
膝つきプッシュアップとは、膝を地面につけた状態で行うプッシュアップメニューです。ノーマルプッシュアップと比べて負荷が小さいため、筋力に自信のない女性でも気軽に取り組めます。
【膝つきプッシュアップのやり方】
1 | 肩幅よりやや広めに腕を広げた四つん這いの状態から、頭と視線を下に向ける |
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2 | 両手と両膝の4点で支えたスタートポジションから、肘をゆっくりと曲げて胸板を地面に近づける |
3 | 地面を押し上げるよう肘をゆっくりと伸ばし、スタートポジションの姿勢に戻す |
膝つきプッシュアップの回数は、「10回×3セット」を目安に行いましょう。両手と両膝の4点で支え、すねやつま先が地面につかないよう常に意識することがポイントです。
リバースプッシュアップとは、背後に置いた椅子やプッシュアップバーなどに手をつきながら、通常のプッシュアップとは逆向きで行うプッシュアップメニューです。大胸筋を主に鍛えられる通常のプッシュアップと異なり、上腕三頭筋や三角筋、さらに背中にある広背筋を鍛えられます。
【リバースプッシュアップのやり方】
1 | 膝くらいの高さの椅子やテーブルを背中側に置き、肩幅程度に広げた手を置いて体を支える |
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2 | 腰を曲げて足を伸ばす |
3 | 肘をゆっくりと曲げて、お尻が地面にギリギリつかない程度まで体を下げる |
4 | 肘をゆっくりと伸ばして2の姿勢に戻す |
リバースプッシュアップは、「10回×3セット」を目安に行いましょう。肘を曲げるとき、お尻は真下に下げること・慣れてきたら太ももに重りをのせて徐々に負荷を高めることもポイントです。
ワイドプッシュアップとは、ノーマルプッシュアップよりも手幅を大きく広げて行うプッシュアップメニューです。大胸筋を効率良く鍛えるのに適していますが、そのぶん高負荷となるため、筋トレ上級者向けのメニューと言えます。
【ワイドプッシュアップのやり方】
1 | ノーマルプッシュアップよりも広めに手を広げてスタートポジションを決める |
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2 | スタートポジションの状態から、ゆっくりと肘を曲げて体を地面に近づける |
3 | 肘をゆっくりと伸ばして、スタートポジションの姿勢に戻す |
ワイドプッシュアップは、「10回×2~3セット」を目安に行いましょう。足は広げずになるべく揃えること・肩甲骨を寄せる動きを意識することもポイントです。
ナロープッシュアップとは、ノーマルプッシュアップよりも手幅を狭めて行うプッシュアップメニューです。いわゆるワイドプッシュアップの反対であり、上腕三頭筋を中心にアプローチをかけたい場合に向いています。
【ナロープッシュアップのやり方】
1 | ノーマルプッシュアップよりも狭め(両手の親指・人差し指で三角形をつくれる程度)に手を広げてスタートポジションを決める |
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2 | スタートポジションの状態から、ゆっくりと肘を曲げて体を地面に近づける |
3 | 肘をゆっくりと伸ばして、スタートポジションの姿勢に戻す |
ナロープッシュアップは、「15回×2セット」を目安に行いましょう。正しいフォームをキープするため、顔は常に前を向けること・慣れてきたら足の高さを上げることもポイントです。
バックプッシュアップとは、床につける手の位置をお尻側に後退させて行うプッシュアップメニューです。大胸筋や上腕三頭筋のほか、広背筋を鍛えられるほか、通常のプッシュアップと比較して腰への負荷が少ないことが魅力となっています。
【バックプッシュアップのやり方】
1 | うつ伏せの状態から、おへそのやや上あたりの位置で、肩幅よりやや狭めに広げた手をつける |
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2 | 足をまっすぐ揃えて伸ばし、つま先を床につけてスタートポジションを決める |
3 | スタートポジションの状態から、ゆっくりと肘を曲げて体を地面に近づける |
4 | 肘をゆっくりと伸ばして、スタートポジションの姿勢に戻す |
バックプッシュアップは、「20回×3セット」を目安に行いましょう。とは言え、バックプッシュアップは回数よりも正しいフォームで行えているかどうかが最も重要です。
パイクプッシュアップとは、通常のプッシュアップとは大きく異なり、お尻を上げて逆V字姿勢で行うプッシュアップメニューです。三角筋前部を中心にアプローチをかけたい場合に向いています。
【パイクプッシュアップのやり方】
1 | お尻を高く上げ、膝・肘をまっすぐ伸ばし、肩幅より大きく広げた両手・肩幅程度に広げたつま先で体を支えた状態でスタートポジションを決める |
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2 | 肘をゆっくりと曲げ、頭を地面に近づける |
3 | 肘をゆっくりと伸ばして、スタートポジションの姿勢に戻す |
パイクプッシュアップは、「10回×3セット」を目安に行いましょう。肘を曲げて頭を下ろすときは、上体をできる限り床と垂直に保つのがポイントです。
プッシュアップで効果的に体を鍛えるためには、下記のポイントを意識しましょう。
また、プッシュアップバーなどの筋トレグッズを使用する際は、手首に負担がかからないよう傾斜グリップがついているかも要チェックです。その他、持ち運びをする場合は軽量サイズかどうかも見ておきましょう。
どの種類のプッシュアップにおいても、最も重要なのは正しいフォームで行うことです。正しいフォームで行えていなければ、どれほど回数を重ねても効果を実感できるまでには時間がかかります。鏡を見ながら、常にフォームを意識するとよいでしょう。
プッシュアップとは、手と足で体を支えながら、上肢の筋力で体を上げ下げする筋トレです。「腕立て伏せ」という名でも広く知られており、大胸筋や上腕二頭筋・上腕三頭筋のほか、やり方によっては広背筋や三角筋も鍛えられます。
プッシュアップは鍛えたい部位ややり方によってさまざまな種類に分けられています。いずれの種類にしても、正しいフォームで行うことが最も重要であるため、全身が映る鏡を見ながら行うとよいでしょう。
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